製品・ビジネスプランを磨き上げ、想いを現実のカタチにする3ヶ月間のチャレンジ

オムロンのものづくり力を活用して世の中を感動させる独創的なアイデアをカタチにし、「コト」を起こそう!
「オムロン コトチャレンジ」は、こうした思いに集う、ものづくりに軸足を置いたハードウェア系ベンチャー企業をオムロンが支援するベンチャープログラムです。

第2期を迎えた今年は、医師や学生など多様なメンバーからなる34のベンチャー企業がエントリー。その中から選ばれた5チームが、製品のプロトタイプの製作やビジネスプランのブラッシュアップに挑戦しました。

3ヶ月にわたるチャレンジ期間中、オムロンの現役エンジニアや数々の実績をつくってきたOB、事業企画担当者がメンタリングと呼ばれるアドバイスを行う他、3Dプリンタやレーザーカッターなどの製作機器を備えたオムロン草津事業所に開設した「ものづくりクリエイトラボ」を提供し、各チームの取り組みを力強くサポートしました。

そして7月23日(土)、各チームの成果を発表する「オムロンコトチャレンジ Demo Day」を開催。審査を経て優秀チームの表彰が行われました。


コトチャレンジDay Demo Dayオープニングムービー

オムロンとベンチャーのシナジーで世界を変える新たな価値を創出する

「さまざまな社会課題を解決することを目指し、オムロンはこれまで世界に先駆けた製品を創出してきました。しかしニーズが多様化し、市場が著しいスピードで変化している今、オムロンだけで社会課題を解決するのは難しくなっています。かつての当社のようなベンチャーと手を携えて、世界を変えていく新しい技術や製品、事業を創出していきたい」

冒頭のあいさつで、ベンチャーからはじまった今のオムロンと同じ志をもつベンチャーに語りかけるのは、オムロンベンチャーズ株式会社代表取締役社長の小澤尚志。

ベンチャーが優れた技術シーズを持っていても、それを事業として育てるにはさまざまな困難が伴います。

オムロンの持つ資金のみならず、研究開発で培ってきた技術、アプリケーションに関する情報をベンチャーのモノづくりやマーケティングに生かす。こうしたシナジーによって、新しい産業・技術を生み出していきたい」と強い想いを述べました。

遠隔地医療を普及したい。医師の熱い思いがカタチになった遠隔診療対応聴診器

「離島やへき地、あるいは都市でも仕事などで必要な医療にアクセスできない人は数百万人います。そうした人たちのために「遠隔診療対応聴診器」を開発し、質の高い遠隔診療を普及させたい」

成果発表でそう熱い思いを語ったAMI株式会社は、大動脈弁狭窄症の自動検出を目指し、心電図から不整脈などを示す特定の音波(心雑音)を検出するプログラムを構築。

この技術を応用し、スマートフォンに心電図を組み合わせることで、遠隔地にいながら患者さんの心音をリアルタイムに聴診できる「遠隔診療対応聴診器」の開発に挑みました。

遠隔地から聴診が可能になれば、専門医による正確な診断、病気の早期発見はもちろん、患者さんに安心感を与えることにも役立ちます。「遠隔地の患者さんにも自ら診察をしたい」と考えている医師は少なくありません。

そうした医師と患者さんをつなげたい。
血圧計のように、いずれ一家に一台遠隔診療対応聴診器を備える時代がくることを願っています」と未来の医療の姿を語りました。

社会課題の明確さと、この技術で世界を変えられる期待感、何より遠隔地医療の普及にかける熱意が高く評価され、見事最優秀賞を受賞しました。

オムロンが培ってきたセンサー技術・ノウハウが製品開発に活きた

メディカルフォトニクス株式会社はメタボリック症候群に焦点を当て、生活習慣病などQOLに大きな影響を及ぼす疾患の源流の一つである食後高脂血症を測定する低侵襲の装置を開発しました。

光を照射することで血中に粒子状に存在する脂質粒子(血液の濁り)を簡単に測定する技術を開発。従来のような採血や長時間の検査を不要にし、「いつでも、だれでも、カンタンに」食後高脂血症を見つけることを可能にしました。

「苦労したのは、計測したい脂質粒子以外のノイズを電子回路からいかに取り除くか。ものづくりの匠から、光を使ったセンサーの開発・製造で世界に先駆けた実績を持つオムロンの技術やノウハウを伝授してもらい、『光を活用する』という新たな視点を得たことが、ハードの開発に直結しました」と報告しました。

「人体通信」による究極の手かざし認証。「新しい技術」を「便利なサービス」へ

「技術的な到達度は、5チームの中でダントツ」と高い評価を獲得したのが、株式会社eNFC。 その結果、特設の審査員特別賞が授与されました。

同社が提案したのは、パスワードや道具を必要としない「人体通信」による「究極の手かざし認証」。

本来数センチ程度の短いエリアでのみ通信できるNFC(Near Field Communication)で用いる短波を電界に変換して体の中を通す画期的な技術を開発。これにより、人体を介して通信距離を伸ばし、例えばスマートフォンやICカードなどをポケットに入れたまま手で認証することを目指しています。

成果発表で、技術や原理の開発に留まらず、顧客に必要とされる具体的な「モノ」を作るところに焦点を当てられたとコトチャレンジ参加での収穫を語ったeNFC。

「オムロンのメンターやオムロンソーシアル社と議論を重ねる中で、顧客に利用シーンをイメージしてもらい、具体的なアプリケーションについて話し合えるデモ機を完成させることができました。今後、『新しい技術』を『便利なサービス』へと具現化する取り組みを継続していきます」

基礎研究を産業界に役立てたい。野菜の鮮度をセンシングするデバイスを開発

チャレンジャーの中で唯一学生によるチームであるiFACToryは、新鮮で栄養価の高い野菜を消費するサイクルを習慣づけてもらうことを目的として、野菜の鮮度を自動でセンシングし、栄養素が減衰したらアラームで通知するデバイスを開発しました。

「大学の修士博士課程で基礎研究を続けながら、自分の研究を産業界や社会に役立てたいという思いが膨らみました。今回のチャレンジは、研究を事業として形にするプロセスを経験できたすばらしい機会でした」と振り返りました。

将来の成長可能性に期待が集まり、出席者来場者による投票で高評価を獲得。「オーディエンス賞」を受賞しました。

オムロンにとってまったく未知の領域として安全な「水」のかたちを追求

オムロングループ社員で編成されたU.W.Iは、「これまでオムロンが取り組んでこなかった、まったく未知の領域で社会課題を見出し、新たなベンチャーの源泉を育てる」という目標を掲げ、21世紀の世界的な課題となっている水に着目。安全な水のかたちを追求する道の一つとして、とりわけ社会的影響の大きい農業・漁業で活用される革新的な水質管理システムを開発しました。

水中の生菌状態をセンシングし、「見える化」するとともに、細菌が増えすぎると自動で薬液を注入し、生菌数を減少させるシステムで、植物工場や養殖場などでの活用が見込まれるといいます。

発表では「オムロンの持つセンサーや制御の技術を他分野に活かし、これまでなかった技術・ノウハウを構築したい」と抱負を述べました。

オムロンにとってまったく未知の領域として安全な「水」のかたちを追求

「世の中は今かつてないスピードで変化しています。この激しい変化の中で、ベンチャーと共に果敢にトライアルを重ね、失敗も経ながら新しい価値観を創出し、世界を変えていきたい。『オムロン コトチャレンジ』は、小さいながらもこの確実な一歩となったのではないかと思います」

閉会にあたり、オムロン株式会社 取締役・執行役員専務の日戸興史は、ベンチャーと共に先陣を切って新たな世界を創造していくという決意を新たにし締めくくりました。