case #02

自らルートを選び自在に走り回るロボット。
未来の生産現場を支える社会的価値。

PROFILE
オムロン株式会社
制御機器・FAシステム事業
営業本部 オートメーションセンタ 営業技術部
2011年入社/システム情報科学府 電気電子工学科卒
PROFILE
オムロン株式会社
制御機器・FAシステム事業
営業本部 オートメーションセンタ 営業技術部
2011年入社/システム情報科学府 電気電子工学科卒

PROJECT

少子高齢社会の進展による労働人口の減少が深刻化する日本。それに伴い、生産現場をはじめとするさまざまなシーンで、ロボットを用いた自動化が加速している。そうした時代の要請に応えるべく、オムロンは2017年に「自動搬送モバイルロボット」を発売。顧客の期待を背に、競合が激しい産業用ロボット市場における拡販プロジェクトがスタートした。

高機能モバイルロボットの国内拡販戦略

モバイルロボットの拡販プロジェクトに、初期メンバーの1人としてアサインされたのは2016年6月のことだった。入社して5年、制御プログラムの開発に携わってきたものの、自分の強みを見つけられずにいたところでの抜擢。新しいことにチャレンジできるうれしさと、モバイルロボットという商品の持つ未来感に、ワクワクした。

このモバイルロボットはもともと、2015年にオムロンの一員となった米国の産業用ロボットメーカー「オムロン アデプト テクノロジーズ株式会社(以下:アデプト社)」が開発したもの。あらかじめ決められたルートを走る産業用ロボットとは異なり、内蔵しているレーザスキャナで人や障害物を検知しながら、ぶつからない進路を自ら選んで自動走行する機能を備えている点が大きな特徴だ。
こうしたモバイルロボットをオムロンブランドで日本国内向けに拡販する、それが本プロジェクトのミッションだった。

全国各地を駆け回っての商談支援

プロジェクトの初期メンバーはわずか2人。東日本と西日本にわかれ、各エリアでの商談支援を担当した。オムロンにとっては新分野の製品とあって、商品知識の習得から、デモ機の手配・セッティング、社内体制の構築まで、すべて一から自分たちで行う必要があった。そして、全国各地の大手メーカーや展示会などを回りながら連日デモンストレーションを行っては、顧客からの問い合わせ対応に明け暮れた。

そうするうちに正式発売の日を迎え、商談数は飛躍的にアップ。市場からの期待の大きさを実感した。商談を進める中で、自動車業界や半導体業界を中心に、一台、また一台と順調に採用が決まっていく。導入いただいたお客様の工場には自ら足を運び、導入立ち上げのサポートを行った。
1つの工場で導入いただいてうまくいくと、「うちの他の工場でも」「グループ会社の工場でも」と横展開のリピート導入へと進むケースが多かった。こうして拡販活動は順調な滑り出しを見せ、モバイルロボットという製品の持つ高いポテンシャルが証明された。

スタートダッシュのリカバリー

一方で、課題もあった。わずか2人で慌ただしく立ち上げたプロジェクトだったため、さまざまなことが未整備のまま進んでいくような状態だったのだ。
まずは人員問題。顧客からの引き合いが多く、2人では到底業務がまわらなくなっていた。そこで、メンバーを増員するとともにスキルアップのための教育にも注力した。そして全員が同レベルのデモンストレーションができるよう標準化し、顧客からの問い合わせ事項はすべてメンバーへナレッジを共有することで、商品知識と技術対応力の向上を図った。

開発製造を担う米国・アデプト社とのコミュニケーションにも課題があった。顧客から受ける質問内容によっては、アデプト社に問い合わせることもあったが、日本と米国では品質に対する考え方や意識の高さが異なるため、質問の意図が伝わりにくいことも少なくなかった。そこは時間をかけてコミュニケーションを図り、質問の背景にどういった事情があるかを重ねて伝えることで、しっかり対応してもらえる関係性を作り上げた。

ようやく整ってきた社内外の体制

また、出荷数が伸びるとともに、品質管理面でも改善が図られた。発売一年目は、米国から完成品が納品され、それを自分たちで品質チェックするという体制だった。より高い品質を保つためには、どうしても欠かせない作業となっていた。しかし現在は、モバイルロボットの組み立てと品質管理、そして開発の一部を国内工場が担っている。こうして開発~品質管理~出荷を国内で行うことにより、万全のオムロン品質で出荷できる体制を整えることができた。
一方、社外パートナー体制の確立も順調に進んでいる。モバイルロボットの導入時にはシステム開発が必要となるが、発売当初はその開発をお客様に委ねていた。それをパートナーとなるシステムインテグレータに担当してもらうことで、より導入・運用していただきやすい体制を作り上げた。現在は、システムインテグレータ向けの特別教育カリキュラムも整備し、パートナー企業の量・質ともに充実を図っている。
こうして、前へ前へと全力で駆けながらも、少しずつ体制を整え、ようやくかたちができつつある。

ペットのような愛すべき商品

プロジェクトの立ち上げ当初から携わっている初期メンバーとしては、モバイルロボットはまるで「可愛らしいペット」のような存在で非常に愛着がある。時々機嫌を損ねて言うことを聞かないことがあるものの、一台一台に名前を付けているお客様もいらっしゃるほど、愛されている商品であるといえよう。
また、労働人口の減少が進む中での多品種少量生産を実現するには、今後不可欠な「働き手」でもある。
実際、商談時に労働者確保に関する課題を挙げるお客様は多く、ロボットへの期待値の高さを感じる。立上げ後の現場に赴いた際には、どこの現場でもロボットは愛称で呼ばれており、作業者と協働し、搬送の削減に役立っている様子を目にする。この瞬間、自身の仕事の社会的価値の高さを感じ、大きなやりがいを見出すことができる。
そして、今後に目を向ければ、自動搬送ロボットの活躍ステージは生産現場にとどまらない。福岡空港の実証実験を皮切りに、FA業界だけでなく物流倉庫や運輸業界での荷物の搬送、あるいは病院における食事搬送、さらにはスーパーマーケットの警備まで、用途の可能性は広がっている。
もちろん、人と空間を共有する際の安全性の確保や、それに係る法整備など、まだ乗り越えなければならないハードルはある。しかしその先には、一般の人々のごく身近な生活空間で、あたりまえのようにモバイルロボットが走る時代が待っているに違いない。

comment

入社3年目の頃、上司から言われた印象的な言葉がありました。「失敗してもいいから、思い切りやってほしかった」。思えば当時の私は、業務をうまくまわすことばかり考えていました。でもオムロンはチャレンジ精神を尊ぶ会社。上司にしてみれば、「若い時は、上の者がいくらでもサポートするから、やりたいことを好きなだけやればいい」という想いだったのです。今、私は仕事がとても楽しいです。まさかモバイルロボットに携わることになるとは思ってもいませんでしたが、自分で考え、事業の立ち上げに直接貢献できている現在に、とても充実感を覚えています。