事業と技術
topics #01
制御機器・FAシステム事業

モノづくり現場をもっとシンプルに。

モノづくりの多様化・複雑化に適応できる変革を。

“モノ”はニーズに応じて変化します。たとえば安全性能は高度化へ、製品は多品種化へ。製品が多品種化すれば、製造ラインにおける人の介在が増え、工程も複雑になっていきます。また、高齢化に伴う労働人口減少や、モノづくりに必要な高い知識を持つ人財の不足に悩んでいます。そんなモノづくりの現場では、効率化と両立する高精度化、そしてより広範なオートメーション化などの制御技術のさらなる進化が、生産の現場を支えています。そして、世の中の”ニーズ”に応えていく為、工場ではつくる製品や数量を素早く切り替える対応や、地球上のどこでも素早く生産をスタートさせることができる「超生産性」と「超柔軟性」が求められています。

必要なときに素早く生産をスタートできる「フレキシブルライン」。

自動搬送ロボットを生産ラインで活用するとつくる製品や数量を素早く柔軟に変更できる一方で、生産をスタートさせるまでの設備の準備期間が長期化していました。オムロンではこうした立ち上げ期間を最小限に抑える「フレキシブルライン」を目指しています。
ロボットを自動機と連携させるためには調整作業や、つくる製品をロボットのために固定するための専用ツールの製作が必要となります。専用ツールはロボットに人並みの器用さを持たせるために不可欠です。
オムロンは生産ラインを構成する自動機やロボット、安全センサーが自律的に連携するようにし、立ち上げや製品の切替時の調整作業を劇的に抑え、さらにロボット自身を高速化させて、一台のロボットで様々な仕事をこなしながら人並みの器用さで製品を掴んだり組み立てたりできるようにします。これにより一台がカバーする作業範囲が広がり、これまでは作りたいものの数だけ用意していた専用ツールを減らして生産できるようになります。

生産を素早くスタートさせるためのもう一つの課題として挙げられるのは、自動機やロボットを適切に動作させるためのプログラミングの工数です。この課題を、オムロンは「ナレッジ」の活用で解決しようとしています。
過去に構築した生産ラインで機械が学習した動作パターンや、どんなときにどのように設定が変えられたかを「ナレッジ」として機械が蓄積し、同じような生産ラインをつくるときに機械が自分でプログラミングすることで、人による作業を大幅に削減することができます。
これまで工場が溜めてきた「ナレッジ」の活用で、ニーズに合わせて生産を素早くスタートできるようにするのです。

装置の異常につながるデータを収集し、
事前に異常を検知するIoTサービス基盤「i-BELT」。

「人手不足と高齢化による熟練の技の継承」や「ニーズの多様化・個別化への対応」など、大きな変革期を迎えているモノづくりの現場。
オムロンはその解決策として、モノづくりの生産性と品質を飛躍的に向上させることを目的に、制御と情報を融合し、製造現場の“知能化”を加速させる「i-BELT」を開発しています。
「i-BELT」は、業界初のAI搭載マシンオートメーションコントローラーを軸に、オムロンが保有する幅広い制御機器とパートナー企業各社が取り扱う制御機器からのデータを製造現場レベルで簡単に収集・分析し、活用するためのIoTサービス基盤です。
第1弾として開始した「設備の異常予兆監視サービス」は、製造設備の異常動作につながるデータを収集し、オムロン独自の分析技術を用いて解析することで、早期に異常を発見し、設備の安定稼働や製品の品質向上を継続的に支援し続けるサービスです。熟練技能者が持つ"匠の技"を超える"設備診断"技術により、設備の"いつもと違う"状態を検知。これにより、設備の異常動作による品質不良を未然に防止すると共に、突発的な故障を防ぎ、設備の停止時間を最小化します。

自動搬送モバイルロボットが生産ラインを進化させる。

独自の人工知能(AI)技術を搭載したオムロンの「モバイルロボット」は、自動車や電子部品、食品・医療品などのモノづくりの現場や物流倉庫など、さまざまな屋内空間において、人や障害物を自動で回避しながら効率的なルートを自ら考え、決められた場所に荷物を届ける自動搬送ロボットです。モバイルロボットを導入することで、モノを移動させるという単純・単調で重労働な作業から人々を解放し、より創造的な分野での仕事に従事してもらうことで生産性や品質の向上といった社会的課題の解決に貢献します。また、固定された搬送設備が不要となることで、ニーズに合わせた柔軟な生産設備と人員の配置が可能となります。

モバイルロボットで実現する「フレキシブル搬送」