鉄道向け自動改札システムが権威ある『IEEE マイルストーン』に認定 | オムロン
  1. ホーム
  2. ニュースルーム
  3. ニュースリリース - 2007年
  4. 鉄道向け自動改札システムが権威ある『IEEE マイルストーン』に認定

鉄道向け自動改札システムが
権威ある『IEEE マイルストーン』に認定 -大阪大学・近畿日本鉄道・オムロン・阪急電鉄4者による開発から実用化までの歴史-

  • 2007年11月27日
  • 大阪大学
    近畿日本鉄道株式会社
    オムロン株式会社
    阪急電鉄株式会社
  • 初期の自動改札機が設置された阪急北千里駅(1967年) 初期の自動改札機が設置された阪急北千里駅(1967年)
  • 「IEEE マイルストーン」銘板 「IEEE マイルストーン」銘板

大阪大学、近畿日本鉄道株式会社(以下、近鉄)、オムロン株式会社(以下、オムロン)、阪急電鉄株式会社 (以下、阪急)の4者は、鉄道向け自動改札システムの開発・実用化に関して、電気・電子・情報・通信分野における世界最大の学会である電気・電子学会IEEE*1より「IEEE マイルストーン*2」に認定され、本日、受賞することとなりました。
今回の認定は、自動改札機の基本的な機能である定期券を高速で処理する判定理論の研究から、現在の鉄道駅においても多数利用されている磁気式の乗車券・定期券併用自動改札機の実用化に至る1965年~1971年の間の大阪大学、近鉄、オムロン、阪急の4者の革新的な取り組みが高く評価されたことによるものです。

現在から遡ること40年ほど前、当時混雑を極めた通勤ラッシュ時の改札口の状況をなんとか改善したいという切実な想いから、改札業務自動化の研究が大阪大学と近鉄により始められました。この共同研究により、まず定期乗車券の通用区間判定のための計算方法が開発され、乗車駅・降車駅に応じて運賃を収受する路線にも対応できるようになりました。さらに、近鉄とオムロンによる共同開発において、改札機の扉を開けた状態で、連続する乗客の定期券を高速判定するという外国では見られないメカニズム(ノーマルオープンゲート方式)が開発され、実用化に大きく前進しました。その後、オムロンと阪急が研究開発を引き継ぎ、1967年3月、阪急北千里駅においてパンチカード方式による定期券用自動改札機と磁気(バーコード)方式の普通乗車券用自動改札機による世界最初の自動改札システムでの営業運用を開始しました。
その後、1971年に日本鉄道サイバネティクス協議会による磁気記録方式が標準規格化されたことを契機に、近鉄はオムロンと共同でサイバネ規格に準じた磁気カード式定期券自動改札機を開発。同年4月に、大阪阿部野橋駅を含む19の駅に自動改札機を設置して、営業運用を開始しました。この一斉稼動は鉄道各社の自動改札機導入の機運を急速に高め、1972年に阪急が北千里駅の自動改札機を定期券と普通乗車券共用の磁気方式の自動改札機に変更するなど、1975年までに関西のほとんどすべての私鉄と地下鉄が自動改札システムを導入しました。

1970年代に関西地区を中心に普及が加速した自動改札機は、関東地区においては複雑な鉄道網のために、複数の鉄道事業者を乗り継ぐための乗車券の共通化に課題がありましたが、磁気乗車券の記憶容量を飛躍的に増大させる技術革新等に伴い、1990年以降、急激に導入が加速しました。
1991年には東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)で改札機に直接投入できるストアードバリューカードである「イオカード」が登場し、1992年には阪急全線でも改札機直接投入方式のシステムを導入するなど、乗客の利便性向上が進みました。 さらに、1996年には関西の5社局(阪急電鉄、阪神電気鉄道、大阪市交通局、北大阪急行電鉄、能勢電鉄)による共通乗車サービス『スルッとKANSAI』が始まり、1枚のカードで複数社局の鉄道・バス路線に乗車できるようになりました。この間、オムロンをはじめとしたメーカー各社による技術革新によって、切符とカード、2枚のカードの同時処理による利便性向上や、新幹線用改札機の登場等による利用機会の拡大が加速度的に進みました。
現在では、関西圏の「PiTaPa」をはじめ、全国レベルで非接触ICカード対応自動改札機の普及が進み、相互利用の範囲も拡大の一途をたどっています。また、通学中の子供が改札機を通過したことを親にメールで知らせる「あんしんグーパス」サービスなど、自動改札機は出改札以外の新たな用途での利用も進みつつあります。私たちはこうしたサービスを通して、これからも皆様の安心・安全で快適な社会生活に役立てるよう努力していきます。

ご参考

  1. IEEE Milestone Citation(マイルストーン表彰文)
    今回のIEEE Milestone の表彰状とその訳文は以下の通りです。

    Railroad Ticket Examining System, 1965-1971

    Pioneering ticket examining machines, designed to speed commuter railroad use substantially, were first installed in 1965, based on work by a joint research team of Osaka University and Kintetsu Corporation. Following this work, an improved version - based on joint work by Omron, Kintetsu, and Hankyu Corporations using punched cards and magnetic cards - was first deployed in 1967, and at nineteen stations in 1971 .

    鉄道乗車券改札システム、1965 - 1971

    定期券通勤者向け高速化技法を実装した先駆的改札機が、大阪大学と近畿日本鉄道株式会社の共同研究チームの成果に基づいて1965年に初めて試作された。これを引き継いで、オムロン株式会社、近畿日本鉄道株式会社、および阪急電鉄株式会社が共同で開発した改良型実用機のパンチカード式のものが1967年に、磁気カード式のものが1971年に19の駅で、初めて稼動した。

  2. 自動改札機開発から実用化までの経緯

    1962年10月 近鉄が社内に「改札自動化準備委員会」を設置し、改札自動化に向けた開発に取り組む
    1963年11月 自動改札機の開発は、近鉄から近畿車輛(株)技術研究所の自主研究となる
    1964年 2月 近鉄が自動改札機開発のための研究会「サイバネティクス研究会」を発足
    8月 大阪大学と近鉄が乗車券の通用区間判定のための計算方法を開発
    9月 オムロンと近鉄が自動改札機試作のための共同開発をスタート
    1965年2月~1966年4月 オムロンと近鉄が自動改札機試作機(1号機~4号機)の製作、実証実験を実施
    1967年3月 オムロンと阪急が上記試作機に基づき阪急向け自動改札機を開発、北千里駅にパンチカード式(定期券用)と磁気バーコード式(普通乗車券用)の実用機を設置
    1971年4月 オムロンと近鉄が近鉄向け磁気カード式自動改札機を開発、大阪阿部野橋駅をはじめ19駅に設置
*1:IEEE(正式名称:The Institute of Electrical and Electronics Engineers , Inc. )
アメリカに本部のある世界最大の電気・電子技術者による非営利団体組織(学会)であり、「アイ・トリプル・イー」と称されています。世界150カ国以上で37万人以上の会員を擁し、コンピュータ、電子、通信、電力、航空、バイオなどにおいて先進的な取組みがなされ、それぞれの分野で指導的な役割を担っています。
現在39の専門部会があり、国際会議の開催、論文誌の発行、標準化などの活動を行っています。
日本には、東京、関西など9支部があり、約1万3千人の会員が所属しています。
*2:IEEEマイルストーン
IEEEが電気・電子技術およびその関連分野において、社会に貢献した重要な歴史的偉業を称えるために1983年に制定。これまでボルタ電池やフレミングの二極管など世界で70件以上のマイルストーンが認定されています。日本ではこれまでに、八木・宇田アンテナ(1995)、富士山レーダー(2000)、東海道新幹線(2000)、セイコークオーツ(2004)、シャープの電卓(2005)、ビクターのVHSビデオ(2006)の6件が認定されており、今回が7件目となります。
詳細お問合せ先
オムロン株式会社 コーポレートコミュニケーション部 
〒600-8580 京都市下京区塩小路通堀川東入    
TEL:075-344-7175