オムロンの技術進化

2015年4月、最高技術責任者(CTO)のポジションが新たに設置され、同時にその任を拝しました。CTOとしての私の主な役割は、経営視点で技術戦略を考え、これを実行することです。コア技術の進化に加え、オープンイノベーションの推進とクロスボーダーの取り組みにより、 新たな技術で未来の価値創造を実現してまいります。

2016年7月
最高技術責任者(CTO)兼技術・知財本部長

1. CTOの設置と技術・知財本部の役割

オムロンではこれまで、特にカンパニー制度が導入された1999年以降、事業部門が個別に技術戦略を考えていました。この体制によって事業部門ごとの技術の完成度は高まりました。しかし、世の中の変化に柔軟に対応していくためには事業の狭間にあるニーズをより迅速に汲み取り、全社横串で取り組む必要があります。私は技術・知財本部を統括するCTOとして、この横串機能を担い、且つ事業部門よりもさらに長期の視点で将来機会を技術で先取りすることを目指しています。そこで就任以来、中長期を見据えた全社の技術戦略の策定と、事業の領域を超えたクロスボーダーな取り組みを実行しております。またこれにあたっては、今後外部との提携によるオープンイノベーションをより活発に推進・実行していきます。

技術・知財本部が手掛けるテーマ

2. コア技術の進化

我々のこれまでのコア技術は“センシング&コントロール”でした。これは、ものごとの状態を感知し、その情報を処理し制御するという概念です。現在ここに人の知恵を表すThinkという概念を加えて進化させようとしています。
人の知恵というものは、多くの情報(データ)に基づいた分析、学習の賜物です。IoTやAIなど、蓄積されたデータの分析と学習をテーマとしたビジネスモデルが近年急激に拡大している中、センシング&コントロールにThinkを加えることでビジネスに大きく貢献できると考えています。例えばものづくりの分野では、工場の機械やロボットを制御するコントローラーにThinkの概念を持たせることで、プログラミングされたルーティン動作の指示だけでなく、熟練した作業員がその状況に合わせて作業するようなシステムの構築が可能となります。また、ヘルスケアの分野の例をあげれば、血圧測定において血圧を測るだけではなく、異常値を感知したらユーザーが欲しいと思われる健康に関わる他の指標をはじき出すといった、+αの情報を提示することが可能となります。全社の技術のベースとなるコア技術の強化で、我々の事業の中長期的な技術的成長を確かなものにしていきます。

3. 未来への価値創造

現在我々は2030年頃の未来を見据えた技術開発を行っています。その中でも特に注力分野である「ものづくり」「ヘルスケア」「モビリティ」に取り組んでいきます。我々は複数の事業を保有することで、様々な分野での豊富な技術ストックを持っています。事業間でクロスボーダーな取り組みを行うことで、そういった各事業体が保有する技術に高いシナジーを生じさせることができます。ここで具体的な取り組みをご紹介いたします。
 「ものづくり×ヘルスケアによる生産革新」の取り組みでは、ものづくり分野の技術や知見とヘルスケア事業の持つ生体情報センシング技術を組み合わせます。これらの技術の融合で、作業者の体調や活動状況をセンシングし、状態に応じて生産のコントロールを行い、ロボットと一緒に安全で効率的に働く環境をつくることができます。これにより、人起因の不具合(ポカミス・非計画の生産停止)をなくし、より効率的な生産活動が可能になると期待されます。
 「モビリティにおけるドライバーセンシング」の取り組みでは、今後発展がみられる自動運転領域での新たな技術開発に挑戦しています。一例としては、2016年、画像センシング技術に最先端のAI (時系列ディープラーニング*.)技術を組み合わせ、ドライバーが安全運転に適した状態かを判定する「ドライバー運転集中度センシング技術」を搭載した世界初の車載センサーを開発しました*.。本技術にヘルスケアの事業で有する生体情報センシング技術を融合させられれば、ドライバーの状態をさらに詳しく知ることが可能となります。今後発展するとみられる自動運転の領域でも、オムロンは新たな技術を生み出し続けていきます。
 このように様々なノウハウや技術を組み合わせることで、思いがけない新たな価値が生まれます。今後もオムロンのさらなる技術発展にご期待ください。
*1 時系列ディープラーニング: ディープラーニング技術の一種。一般的にディープラーニング技術では、静止画の画像認識等で非常に高い性能を示すが、連続した時間的変化を伴う事象は苦手としていた。オムロンは、過去の情報を内部に保持する仕組みを持つ、RNN(Recurrent Neural Network)と呼ばれる技術を独自に改良し、時系列情報を含む多様なドライバー状態の高精度な認識を実現。
*2 詳しくはニュースリリースをご参照ください。
https://www.omron.co.jp/press/2016/06/c0606.html

事業間におけるクロスボーダーの取り組み

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