オムロン・スイッチオン!!

Tech-On!取材班が、オムロンのスイッチの秘密に迫る Vol.4 オムロン スイッチ開発チーム編 オムロンスイッチ開発チームに聞く! 欧州環境規制に待機電力ゼロで対応主電源をオフするロッカースイッチを創る!

欧州の環境規制に注目

 ユーザーの視点を重視した製品開発に取り組むオムロン スイッチアンドデバイス。同社の開発姿勢が明確に反映されている製品の一つが、エレクトロニクス機器の主電源を自動的にシャットオフするリモートリセット機能を備えたロッカースイッチ「形A8GS」である。

 エレクトロニクス機器の待機電力を一段と厳しく規制しようとする欧州の動きに注目した同社が、市場のニーズを先取りする形で開発した戦略製品だ。同社従来品に比べて外形寸法を格段に小さくし、業界最小クラスにまでした。

リモートリセットロッカースイッチ「形A8GS」

リモートリセットロッカースイッチ
「形A8GS」

リモートリセット機能付きでは業界最小クラス

 オムロン スイッチアンドデバイスのリモートリセットロッカースイッチ「形A8GS」は、波形の操作部を備えたシーソー式スイッチである (図1) 。OA機器をはじめ、エレクトロニクス機器全般で主電源のオン/オフに数多く使われる。外部から電気信号を使ってスイッチに内蔵したソレノイドを制御することで、スイッチをオンからオフの状態に自動で切り替えることができる「リモートリセット機能」を備えている。

 この製品の大きな特長は、操作部が縦30mm×横17mmで高さが28.5mmと従来の同機能付きロッカースイッチに比べて格段に小さいことだ。「当社従来品に比べて操作部の面積を約50%も削減しました。高さも4.5mm低くなっています。ここまで小形のリモートリセット機能付きロッカースイッチは、ほかにはありません」(同社業民スイッチ商品部 津野島博文氏)。

図1 リモートリセットロッカースイッチ(左:同社従来品/右:形A8GS)

図1
リモートリセットロッカースイッチ(左:同社従来品/右:形A8GS)
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津野島博文氏

津野島博文
オムロンスイッチアンドデバイス
業民スイッチ商品部

主電源の自動シャットオフに必須なスイッチ

 形A8GSはもともと、複合機や複写機などOA機器の主電源スイッチ向けに開発した製品だ。

 「休業日や夜間など長時間にわたって稼働していないとき無駄に電力が消費されるのを防止するためには、やはり主電源を切るべきでしょう。でも、どうしても切り忘れなどが発生します。最近では省エネに対する意識が高まってきたことから、稼働状態を認識したうえで自動的に主電源を切る仕組みが求められるようになってきました。こうした機能は、これから他の製品にも広がるはずです」(オムロン DI・モバイル事業部 デジタル・イメージング業界営業グループ北川淳二氏)。

 同社はOA機器向けにすでに供給を開始しており、家電・産業機器などの分野には2012年6月に発売する予定だ。

北川淳二氏

北川淳二
オムロン DI・モバイル事業部
デジタル・イメージング業界営業グループ

照準は欧州環境規制「ErP Lot6」

 同社が、形A8GSの開発に着手したのは2010年春のことだ。そのきっかけになったのが、環境対応機器に関する規制の一つ「ErP指令 Lot6」が欧州で施行されたことだ。

 この指令は、エレクトロニクス機器の待機電力削減を目的としたもので、稼働状況に応じてシステムを自動的に待機状態に切り替える電力管理機能を搭載することを義務づけている。また2つの段階に分けて実施することになっており、2010年1月から始まった第1段階では待機電力を1W以下に制限し、2013年から始まる第2段階では待機電力を0.5W以下に抑えることを求めている。

 「稼働する回路を最小限にすることで消費電力を抑える“低電力モード”に自動的に切り替わる機能を備えた機器は多いと思います。ただし、この仕組みで待機電力を0.5W以下に抑えることが非常に難しく、こうした機器で0.5W以下に待機電力を下げるには、主電源を完全に遮断する仕組みが必要になります」(北川氏)。

 

従来の常識を変える小形化を実現

 実は、2009年後半から欧州のErp指令がきっかけでリモートリセット機能付きロッカースイッチに関して同社に問い合わせるユーザーが増えていたという。「そこで、こうした動きに合わせて新しいスイッチを開発することにしました」(津野島氏)。

 新製品の重要な差異化ポイントの一つとなったのが「小形化」だった。「従来製品のラインアップにもリモートリセット機能付きロッカースイッチがありましたが、そのサイズが大きかったことから、取り付けスペースの制約が多いお客様の要求には対応できないことが多くありました。そこで、幅広く展開できるように、徹底的に小形化を追求することにしました」(津野島氏)。

 サイズが大きな据え置き型のOA機器でも、最近では内部の実装密度が高まっており、部品を実装するためのスペースの余裕がなくなっているという。「小形になれば、主電源スイッチ周辺の設計に関する自由度が向上します。これによって、1種類のスイッチを数多くの品種に共通に展開するといったことがしやすくなるでしょう。つまり設計の合理化に貢献できるわけです」(津野島氏)。

小形化の決め手はソレノイドの設計

 同社は、従来品をたたき台にしてあらゆる角度から小形化の可能性を探り、構造を一新した。その中でも特筆すべきは、リモートリセット機能のために内蔵しているソレノイドである。

 「従来品よりも小形で十分な駆動力を発揮するソレノイドを新たに開発しました。さらに、取り付け面に対して平行に配置していたのを垂直に取り付けたことで、下部に設けた端子の間に組み込むようにしました。これによって外形寸法を大幅に小さくすることができました」(同社商品開発部 業民スイッチ開発グループ 井澤一平氏)。

 このような新しい設計で数種類の試作品を製作する。これを一部の顧客に見てもらいながら、具体的な製品の仕様を固めていった。最終製品に近いサンプルが完成したのは2010年秋頃のことだ。

 「このサンプルを見たお客様の多くが、従来品に比べて大幅に小さくなったことに驚いていました。リモートリセット機能付きロッカースイッチの外形サイズに対する業界の認識を変えてしまったといっても過言ではないと思います」(津野島氏)。

井澤一平氏

井澤一平
オムロンスイッチアンドデバイス
商品開発部
業民スイッチ開発グループ

editor's note

本質ニーズ「環境」ととらえて製品化

 形A8GSは、顧客の要望に真摯に耳を傾け、そこからあぶり出した「環境」という本質的なニーズを的確に企画に反映することから生まれた製品だ。まさにオムロンスイッチアンドデバイスならではの製品といえよう。

 今後も、オムロンスイッチアンドデバイスは安心・安全、環境といった本質的な市場ニーズを具現化した新製品を顧客と一緒に創りあげる姿勢で、新しいスイッチを市場に提供していく。

OMRON Switch ON オムロンスイッチの秘密に迫る キーパーソンインタビュー公開中
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