第4回 視覚センサ(画像センサ)
前例のない視覚センサで新たな検査の可能性をつくりだす
オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 加藤豊
視覚センサは、自動車や家電、電子部品などさまざまな製品の生産ラインで、人間の目に代わって不良部品や不良部位を見つけ出しています。人間の目と同様にカラーで情報を処理するリアルカラーセンシング技術は、「人の目に近づき、人の目を追い越すこと」をめざすオムロンの視覚センサならではの画像処理技術です。
これまでの常識をくつがえして誕生したリアルカラーセンシング技術、そして進化し続ける視覚センサへの熱い思いを技術者が語ります。
- 固定観念の殻を破った全く新しいカラー画像処理「リアルカラーセンシング技術」
- 一からのアルゴリズム作りに挑戦
- 視覚センサ開発の先はアトム?-進化し続ける画像処理技術
固定観念の殻を破った全く新しいカラー画像処理「リアルカラーセンシング技術」
製造現場で人間が目視で行っていた製品検査を自動化・高速化させて、製品の高品質を支えることが視覚センサの役割です。オムロンは、この視覚センサを1980年代から開発しており、多くの製造現場に採用されてきました。お客様の検査工程において、製品の品質維持向上に寄与してきました。
しかしながら、それまでの視覚センサでは、検査ができない対象物があったり、屋内の照明環境によって検査の精度が低下してしまったりといった課題がありました。このような背景の元、視覚センサの分野に革新をもたらしたのが、リアルカラーセンシング技術なのです。
それまでの視覚センサは、モノクロ画像で処理するのが常識とされていました。
今どきモノクロ?と思われるかもしれませんが、視覚センサが登場した時のカメラがそもそもモノクロだったため、検査工程で求められる画像処理の技術はモノクロ画像をベースに発展していったのです。技術が進歩して、カラーで撮影できるカメラを使うようになっても、視覚センサの画像処理作業はモノクロで行われていました。カラー画像をわざわざモノクロにしてから処理していたのです。
カラー画像を取り扱えなかったのは、カラー情報をそのまま処理する技術を確立するのが難しくて、世の中にその方法が存在しなかったからです。
カラー情報をそのまま処理するということは、「人間に近い特性」を持たせることと似ています。人間の目というのは、色相や明度、彩度といった情報を掛け合わせ、それぞれの差で物質の違いを見分けています。
オムロンの視覚センサは、「人の目に近づき、人の目を追い越すこと」をめざしています。そこから、「視覚センサ=モノクロ画像」という固定観念を打ち破り、カラー画像で処理することを可能にする全く新しいリアルカラーセンシング技術が生まれてきたのです。

言葉では簡単に聞こえますが、従来のモノクロ処理とカラー処理技術では扱う情報量が大きく異なります。
たとえばモノクロ画像では濃淡の差はあっても色差はありませんよね。しかし、カラー画像の場合は、赤色といってもさまざまな赤色があって、その膨大な情報量を認識して処理しなければいけないのです。仮に製品化できたとしても、モノクロ処理の視覚センサを上回る性能でなければいけません。処理スピードが遅すぎてしまっては、製品として意味をなさないからです。
技術的に難しくても、リアルカラーセンシング技術を実用化すれば、今まで検出不可能だった検査ができるようになるのは明らかです。検査対象にある微妙な色差、いわゆる低コントラストの汚れもカラー情報なら検知できますし、製造現場で働くお客様にとって有効な視覚センサとなるはずです。そう確信したからこそ、技術的ハードルに立ち向かい、新たな視覚センサの開発に取り組んだのです。
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