第1回 シート型液晶用バックライト
- LEDの光を制御し、バックライトの薄型化を実現
- 発想を転換し、三次元ラジアルプリズム構造で光の効率を高める
- 前例のない技術に挑戦し、新しい光制御技術を確立
- 光をもっと自由に制御できるように、これからも技術を磨き上げる
前例のない技術に挑戦し、新しい光制御技術を確立
ラジアルプリズム構造を実際に形にしていくためには、まず、LEDの選定から始め段差はどのくらいにするのかなど形状や部材の詳細を詰めていきながら、コンピュータでシミュレーションを行います。そして最適化形状を算出し、ラジアルプリズム構造の最大の特徴である三次元で光の動きを想定しながら光学設計に取り組みました。
当然検証すべきパラメータが膨大なので、一つひとつを検証するのは不可能です。そこで、まず膨大なパラメータを数学的に近似化させ検証すべきパラメータを集約し、検証作業を大幅にカットしました。そして、ついに光効率の良い最適な形状を算出することに成功したのです。
これまでオムロンで培った技術をベースに、新たに三次元の光学設計を確立。この新しい光制御技術の進歩によって、シート型バックライト設計の成功への大きな一歩を踏み出したと強く実感しました。

しかし製品化するためには、加工が容易な形状にしなければなりません。そしてもちろん光学理論をしっかり守りながら、高い加工精度で作りあげなければ、ラジアルプリズム構造は実現できません。
「ここで妥協はしたくない!」時間をかけてこの前例のない特殊な加工について担当者たちとじっくり議論しました。そして加工の段階で光が損失してしまう問題について、どこで光を損失しているのかを一つひとつ調べ、さまざまな改良を加えました。何度もの試行錯誤を繰り返したのちにようやく迎えた製品完成の瞬間は、感動もひとしおでした。このときの情景は、今でも鮮明に思い出すことができます。

光をもっと自由に制御できるように、これからも技術を磨き上げる
シート型バックライトの実現により、携帯電話を単に薄くできるだけでなく、たとえば曲げられるという特性を活かして、フレキシブルな表示装置の提案も可能だと考えています。お客さまからも「こんなに薄いバックライトは見たことがない」と、うれしい反応をいただけたと聞いています。
液晶の開発はますます進み、最近では文字だけでなく、さらに高精細な写真や動画を扱うようになってきています。光は本当に奥深いし、面白いですよ。今回の経験を活かし、光を自由に制御できるようになりたいですね。そして、より高精細な液晶を効率よく発色させられるバックライトなどの開発につなげていきたいと思います。


- 廣田和英
- オムロン株式会社
- エレクトロニクスコンポーネンツビジネスカンパニー
セミコンダクタ統括事業部マイクロレンズ事業部
B統括部 技術開発課 - 1998年オムロン株式会社入社。以来10年間、光デバイス開発の第一線で活躍。1999年モノクロ点光源方式バックライト製品を開発、2000年カラー点光源方式バックライトの光学設計を担当、そして2007年からシート型バックライトの開発に携わり、光学設計のリーダーとしてラジアルプリズムの開発に取り込み、製品化を実現した。
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