omron

自動運転があたり前の「未来の安全」を支える

「人とクルマをリアルタイムに
協調させる。AIを取り込み、
オムロンにしかできない
センサーを創る。」

モビリティ

MOBILITY

技術・知財本部
センシング研究開発センタ
物性センシング研究室

池谷崇

自動運転が目指すモビリティの未来は、「移動する部屋」。
自分が行きたいときに行きたい先に行きたいルートで移動しながら楽しむ、読書や映画鑑賞、大切な人との食事や語らい・・・
移動がもっと楽しくなる。これまでなかった価値を提供してくれます。

その来るべき未来に向けて、あらためて自動運転とは何か? を問い直し、
辿りついた答えのひとつが、「クルマが人を理解する」ということ。

自動運転に必ず付随する手動運転との切り替え時の安全になくてはならない技術、
ドライバーの運転集中度をセンシングする世界初のオムロンにしかできない技術「ドライバーモニタリング」。

「ドライバーの不注意による事故を無くしたい」

「ドライバーの不注意による事故を無くしたい」

クルマの安全性能は高まっているのにもかかわらず、世界の交通事故死亡者数は増え続け、2020年には190万人との予想もあります。交通事故の原因の約8割は、実はドライバーの危険発見の遅れや判断の誤りなどの人的要因なのです。

2018年には、高速道路で全ての操作をクルマに任せられるようになると言われている自動運転ですが、そこには自動運転から人への手動運転へと、いかに「安全に」切り替えるかという大きな課題が存在します。池谷崇は事故が増え続ける現状を踏まえ、「自動運転とは何か?」という根本的なテーマを問いかけます。

世界では毎日3400人以上が交通事故で命を失い、何千万人もの人々が交通事故でケガや障害を負っている(WHO調べ)

世界では毎日3400人以上が交通事故で命を失い、何千万人もの人々が交通事故でケガや障害を負っている(WHO調べ)

「クルマが走行するためには、クルマ、人、周囲という三者の関わり合いが必要です。これが自動運転の観点になると、とりわけクルマが外部環境にどう適応して走るかという“クルマと周囲”の関係ばかりが注目されがちです。私たちオムロンの開発チームは、自動運転であっても、“人とクルマ”の関係にフォーカスすべきだと考えました。自動運転がいくら発達しても、クルマは“人とクルマが協調する乗り物”であることに変わりないからです。ならば、ドライバーをセンシングしてクルマが人を理解できるようにすることで、事故を起こす人的要因を減らし、交通事故という社会課題の解決に近づくと考えました。その発想が『ドライバーモニタリング』の開発のきっかけとなったのです」

「ドライバーモニタリング」とは、カメラで捉えたドライバーの外観の画像からドライバーの多様な行動や状態を把握し、どれくらい運転に集中している状態かをリアルタイムにレベル分けする、世界初の技術。

たとえば、脇見をしているならレベル1、スマートフォンの操作中ならレベル2、居眠りやパニック状態ならレベル3という具合に、あらゆる状態を瞬時に判定可能なモニタリングシステムです。この判定結果をクルマの制御と連動させ、状態に合わせて、警告を出したり、自動運転から手動運転に切り替えずに安全に車を停車させることで危険を回避し、人に起因する交通事故を未然に防ぐことができます。

「車載組み込み環境という制約をいかに克服するか」

「車載組み込み環境という制約をいかに克服するか」

「ドライバーモニタリング」はドライバーの上半身の画像をセンシングします。クルマの運転に関わる以上、リアルタイムに、一瞬も途切れることなくセンシングしなければならないという高いハードルが、そこにはあります。

時系列ディープラーニングと画像センシング技術の融合で、ドライバーの多様な行動と状態を、リアルタイムにレベル分けして判定

時系列ディープラーニングと画像センシング技術の融合で、ドライバーの多様な行動と状態を、リアルタイムにレベル分けして判定

「通常、高度で複雑なセンシングを行うためには大規模なコンピュータが必要となりますが、車載組み込みが条件であるため機器はごく小型にまとめなければなりません。当然、コンピュータの処理能力も限られてしまいます。とはいえ、インターネットを使ってクラウドで処理をしていては刻一刻と変わる運転状況に対応できません。開発のカギは車載組み込み環境という制約をいかに克服するか」

活路を開いたのが、オムロンが20年以上にわたって築き上げてきた高精度な顔認識技術「OKAO」。そして最新AI技術の一種である時系列ディープラーニング。「ドライバーモニタリング」はこの2つの技術融合の産物。
「OKAO」で培ったノウハウをベースにしたエンジンが目や口など顔の各器官の状態から表情を推定。コンピュータの処理能力が限られているという課題も、試行錯誤の末に克服しました。そこには大胆な工夫が盛り込まれていると池谷は解説します。

「1台のカメラから入力された画像を詳しい顔画像と大まかな動作画像に分けて処理するのがポイント。顔画像は高精細、動作は必要最低限の画質とメリハリをつけて絶妙なバランスで組み合わせることで、高精度なセンシングとコンパクト化を両立しています」

「クルマが人を理解する技術が、当たり前になる未来」

「クルマが人を理解する技術が、当たり前になる未来」

従来のセンサーは居眠りや脇見などの個別のセンシングは可能でしたが、その結果、運転にどの程度影響を及ぼすかまでは判定できません。「ドライバーモニタリング」が本当の意味で画期的なのは、ドライバーのあらゆる状態の危険度レベルの判定が可能なところです。なぜオムロンはその域に達することができたのか?

「ドライバーモニタリング」は1センサーでドライバーの多様な運転危険度合を多段階で推定可能

「ドライバーモニタリング」は1センサーでドライバーの多様な運転危険度合を多段階で推定可能

「ドライバーの何をセンシングすればよいかについて徹底的に議論しました。ドライバーが眠っていないか、前を向いているかなど、ドライバーに運転を任せるために気になることはたくさんあります。しかし、クルマ側が知りたいのはこのような個別の情報でしょうか。運転の主導権をクルマからドライバーへ安全に受け渡すために、クルマが人を理解したいこととは?私たちは“運転集中度”であると仮説を立てました。ドライバーの多様な状態と、その多様な状態に応じたクルマの制御。その間を運転集中度という指標でつなぐことができれば、機械がドライバーの状態を理解し、人とクルマがより協調した関係になれる。センシングにおいては、“運転集中度“のような指標で定義づけを行うことが非常に重要と考えています。事実、“運転集中度”のセンシングを可能にし、制御にまで結び付けて『ドライバーモニタリング』を形にしました。センシングだけでなく、その先の制御まで考えるオムロンだからことたどり着けた答えだと考えています」

衝突回避の自動ブレーキが今や一般的な技術として当たり前に車に搭載されているように、『ドライバーモニタリング』が安全機能として当たり前になる日も遠くない。

池谷のチームは、2018年の高速道路での自動運転で実用化されることを視野に入れ、開発を進めている。

さまざまなセンシングデータから人を理解するわたしたちの技術が、自律的に動くモビリティ社会の安全・快適を支えている。
その強い信念を胸に、これからも未来のモビリティを牽引します。

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