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2010年度トピックス

品質への影響を最小限に抑え、生産現場の省エネルギーをさらに加速

一層の省エネルギー対策を迫られている日本の製造業

製造業が使う電力は、日本の消費電力全体の約45%にものぼっています。これを減らしていくために、従来から各工場では省エネルギーの努力を続けてきました。さらに、東日本大震災の影響によって、日本各地で今まで以上の対応が求められています。

各工場の生産現場では、機械を省エネルギータイプのものに置きかえる、使っていない時は電源をこまめに切るなどの方法で対策を進めてきました。より進んだ工場では、一つひとつの機械が消費する電力量を計って無駄を見つけ、減らしていく方法も採用しています。しかし、消費電力を今まで以上に大きく減らすには、根本的に発想を変える必要があります。

盲点となっていた「品質を守るため」の過剰な電力消費

これまで懸命に省エネルギー対策を進めてきた工場にあって、盲点となっていた部分。それは「『品質を守るために』という理由から必要以上に消費されていた電力です」とASC推進事業部長の大塚は指摘します。考えられる限りの対策を実行し、世界でもトップレベルのエネルギー削減を実現していると言われる我が国の製造現場ですが、大塚たちは「まだ大きな無駄が残っているのでないか」と考え、さまざまな検討を加えました。その結果、特に「製品の品質を守るための機械が過剰に運転されているケースが多いこと」が判明したのです。

たとえば、精密な部品を製造する作業場では、ほんのわずかな塵・埃(パーティクル)でも品質に悪影響を及ぼすことから、多くの場合、空気をクリーンな状態に保つためのファンフィルタユニット(FFU)という装置を常時フル稼働させています。しかし、実際のところ、フル稼働させておかないと品質に問題が生じるのか否かは、明確になっていませんでした。そのため、今まではFFUの運転を止めることで品質に問題が生じてしまうのではないかという恐れから、FFUの稼動を止めることができなかったのです(図1)。

クリーンブース

大塚たちは「この問題の解決にオムロンのセンシング&コントロール技術が生かせる」と気づきました。FFUを例にとると、空気のクリーン度をセンサで細かくチェックし、どういう状況でパーティクルが増加するかを分析。その結果をもとにFFUを最適に制御することで、品質に影響を与えることなく、必要な時に必要なだけFFUを稼動させることが可能になると考えたのです。

[図1]エネルギー制御の着眼点

[図1]エネルギー制御の着眼点

オムロンだからこそ可能になったエネルギーの最適化運転

このアイデアを検証するために、開発部は実際に精密部品を製造している生産ラインの複数箇所にパーティクル量を計測する自社のセンサを取り付け、パーティクル増加の要因を徹底的に調査しました。その結果、パーティクル量が増えるのは、特定の機器が稼動しているときであり、それ以外はFFUを常時フル稼働する必要はないということが分かったのです。

そこで開発部は、パーティクル量の変化と機器の稼動状況をパターン化。パーティクル量のわずかな変化をセンサでキャッチし、パーティクル量の増加を予測してFFUの稼動を強め、減少時は弱めます。このようにFFUの運転を最適制御するシステムを構築しました。また、このシステムの導入によって現場改善意識も高まり、発生源となっている機器自体の対策や現場清掃の徹底なども進めました。その結果、この作業場では、品質を高めながら、FFUの電力消費40%削減をともに達成することができました(図2)。しかも、この作業場は、オムロンの中でも先進的な省エネルギー対策を続けてきた工場の中にあったのです。

これは、オムロン自身が精密部品をつくるメーカーだからこその成果と言えます。大塚は、その重要性をこう語っています。「今後、こうしたシステムをお客様に提案していく際には、本当に品質に悪影響を及ぼさないと立証できなければ、採用していただけません。厳しく品質管理している自社工場で実証実験できることが、我々の強みであり、お客様からの信頼につながるんです」。

製造業の工場では、空気のクリーン度のほか、ヒーターの温度、冷却水の流量、コンプレッサのエアー圧などを制御する多くの機械が動いています。「それらの中にも、必要以上に運転されているものが多くあるはず。必要最小限の運転に制御することで、生産現場はもっともっと省エネルギー化できます。それは今の日本だけでなく、これから世界中で求められることでもあると思います」と、大塚。

製造業の省エネルギーを加速させるために。オムロンの新たな挑戦がはじまっています。

[図2]FFUの消費電力

FFUの消費電力

[図2]クリーンブース内のパーティクル量

クリーンブース内のパーティクル量

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