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有識者との対話

世界同時不況下における持続的発展とは?
全世界レベルでの大転換期に企業に求められる変革とは何か

有識者との対話のイメージ

CSRの方向性とあるべき姿を再確認し、今後の取り組みに活かしていくため、社外有識者の方々と「世界同時不況下における持続的発展とは?」をテーマにダイアログを実施しました。

3つの議題についてのご意見をまとめてご紹介するとともに、木内氏による基調講演、オムロンからの発言も記載しています。

参加ステークホルダー
  • 秋山 をね 氏

    秋山 をね 氏 株式会社インテグレックス
    代表取締役社長

  • 足立 直樹 氏

    足立 直樹 氏 株式会社レスポンスアビリティ
    代表取締役

  • 石倉 洋子 氏

    石倉 洋子 氏 一橋大学大学院
    国際企業戦略研究科教授

  • 木内 孝 氏

    木内 孝 氏 株式会社イースクエア
    代表取締役会長

ファシリテーター
  • ピーター D.ピーダーセン 氏

    ピーター D. ピーダーセン 氏 株式会社イースクエア
    代表取締役社長

オムロン(株)
  • 立石文雄 取締役副会長
  • 樋口英雄 執行役員常務
  • 山本卓二 執行役員常務
  • 雨宮一信 執行役員常務
  • 飛田甲次郎 執行役員常務
  • 勅使川原正樹 執行役員
  • 宮本武 グループ戦略室 CSR推進部長
木内氏の基調講演(概要)
「等身大の世界」の新たなる創造に向けて

利己主義的な価値基準から「経済の発展」を最優先した過去の反省に立ち、「社会の発展」「コミュニティの発展」を重視した持続的発展に関心が集まっています。私はそのキーワードとして、「等身大」という言葉を挙げたいと思います。等身大とは「サイズ・オブ・ライフ」、つまり生活や暮らしの大きさです。自然の力、人々の力、地域の力が調和し、人々が生命の輝きを取り戻す「等身大の世界」を創ることが、今求められていると感じています。

今日のテーマである「世界同時不況下における持続的発展」について考え、議論の中から結論を生むことは非常に有意義であると思います。このような場を多く設け、一人ひとりが考え、互いの意見交換を通じてさまざまな“気づき”を得ることが、今後ますます重要になってくるでしょう。

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1 「法令遵守と企業倫理」を超えたCSRとは?


ミッションを定め、リソースを駆使し社会的課題の解決を(秋山氏)

「CSRは法令遵守と企業倫理さえやっておけばいい」という時代はもはや過ぎ去っており、企業がリーダーシップを発揮し、積極的に社会的課題の解決にあたることが、現代のCSRであると考えます。今、企業は社会の要請に受け身的に応えるのではなく、さまざまなリソースを駆使して社会的課題の解決に力を尽くすことを期待されています。この期待に応え、ビジネスを通して社会的課題を解決していける企業こそが、持続的な競争力を持つでしょう。

重要なのは、数ある社会的課題、要請の中から、自分たちのミッションを定め、実行していく力です。まずはアドバルンを打ち上げ、自分たちを否が応でも課題解決にコミットさせること、そして取り組みの進捗状況を絶えず報告することです。そうすることで活動の意義も明確になり、ステークホルダーへの説得力も生まれます。その意味で、社内外へのコミットメント(約束)の継続的な発信は、CSRにとって非常に重要だと思います。

さまざまな状況に対し「何ができるのか」が企業に問われている(足立氏)

CSR(Corporate Social Responsibility)は通常「企業の社会的責任」と訳されます。「責任」というと、「やらねばならないこと」のイメージがありますが、Responsibilityという言葉はresponse(反応、対応)と、ability(能力)が合わさったもの、つまりCSRとは、さまざまな状況に企業はどう対応し、何ができるのか、その能力を問うものだと考えています。

たとえば行政による福祉サービスは、一定限度を超えればコスト面での制約を受けざるをえません。しかし、企業には、ビジネスの仕組みをつくり出すことによって、支援を必要とする人々のための財源を確保することも、仕事を提供して自立を支援することも可能です。そうした取り組みこそ、企業にしかできない、本当の意味でのCSRではないでしょうか。

CSRとは、事業活動で得た利益を社会に還元するといった付加的な活動ではありません。ビジネスのリソースそのものを使って社会に貢献していくことなのです。

オムロンでなければ実現できないユニークなCSRを(石倉氏)

私は、基本的にCSRは「企業戦略」のひとつであるべきだと考えています。そこではパッシブではなくアクティブなCSR、さらに一般的なものではなく企業独自のユニークなCSRであることが重要です。

こうしたCSRは企業のバリューチェーン、すなわち自社独自の付加価値を創造し、顧客に届けていくプロセスに組み込まれることが鍵となります。CSRを、価値を生み出すファクターのひとつにするわけです。また、価値創造のプロセスを自社内に限定するのではなく、外部と協働・連携した形でバリューチェーンを構築し、なおかつ協働した誰もが価値を獲得できる「win-win」が大切です。自社の強みや資産を用いたオムロンらしい、オムロンにしか実現できない社会的課題の解決策、御社の言う「ソーシャルニーズの創造」を目指してほしいと思います。

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2 持続的発展のための変革のポイントは?
~どういう分野を選択し、何に集中すべきか?


CSRは会社最適、ひいては社会最適を実現する鍵(秋山氏)

さまざまな業務に従事する従業員たちが「CSRを果たす」という共通のミッション、理念を持つことは、彼らの心をひとつにするだけでなく、各部門の「部分最適」を超えた、企業全体の「会社最適」を実現する鍵でもあります。

さらに一歩進め、これを「社会最適」につなげていくことが重要ですが、企業の理念が、地球の存続や社会の持続的発展といった“地球ミッション”に適うものであれば、会社最適が自ずと社会最適になるはずです。その意味で、自社の理念が本当に地球ミッションにつながっているかを、まず見直してみることが重要です。

太陽エネルギーの活用が事業変革の大きなポイント(足立氏)

この先数百年使える持続可能な資源は、生物資源以外にありえません。遅くとも100年後には、経済は確実に、石油・石炭のような「鉱物ベース」から「生物ベース」に変わっているはずです。この生物資源を支えるのが、太陽エネルギーです。

私たち人間は莫大な量のエネルギーを使っていますが、地球上の植物が使用している太陽エネルギーは、その10倍にのぼります。さらにその1,000倍ものエネルギーが、太陽から地球に降り注いでいます。この無尽蔵ともいえるエネルギーをどう活用できるかが、これからの事業変革の大きなポイントになるでしょう。

インフラ整備など、長期的視野に立った取り組みが重要(石倉氏)

現代の世界では、業界・国境・組織といった境界が希薄化し、高度経済国と開発途上国、供給者と消費者の力関係もフラットになっています。こうした状況下では、グローバルな動きと同時に、ローカルでの独自性を追求することも重要です。

たとえば、単にある国に商品や技術を売り込むだけではなく、それらを使いこなすための教育支援まで行う。そうすることで自社の事業推進と同時に、その国の国力向上にもつながります。そのように長期的な視野に立った取り組みが大切です。

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3 全世界レベルでの大転換期における、リスクと機会とは?


まず目標を定め、その実現に何が必要かを考えたい(秋山氏)

このような時代には「あるものを積み上げていく」という考え方から脱却し、「近い将来にこうありたい」という姿を描き、その実現に何が必要かを考える、いわゆる「バックキャスティング」が重要になります。その礎となるのが「企業理念」です。これからの企業には、環境やエネルギーといった地球規模でのミッションを果たしていくという、確固たる理念と経営者のコミットメントが求められます。それはリスクであると同時にチャンスでもあります。

最大のリスクは、環境の変化への対応が遅れること(足立氏)

環境が変化している以上、その中にいる私たちや会社のルールも変わらざるを得ません。その対応の遅れこそ、最大のリスクです。新たな世界で共有できるルールとは何か。それを必死に考え、模索していくことが非常に重要だと思います。企業活動により近付けて言えば、グローバルに考える視点が今まで以上に重要になります。なかでも、人材、資源、地政学的にも近しい関係にあるアジアは、今後ますます重要な位置を占めるようになるでしょう。

企業は社会的課題を解決する主役になりえる存在(石倉氏)

同じことでも見方によってリスクとなり、機会となります。これからの時代は「あれか/これか」という二律背反の構図ではなく、双方を内包しつつバランスをとることが重要です。「マスor個別」、「競争or協働」、「オープンorクローズ」といった対立ではなく、orをandに変えていくことで、新しい展開が生まれてきます。

社会的課題の解決についても「営利or 非営利」ではなく、それらを両立させることが重要です。その意味で、今後は企業が社会的課題の解決に向けた「主役」になっていくと思います。価値の源泉となる資産、特に技術資産を持っているのは企業しかなく、さらに企業には、グローバルな、厳しい競争環境で切磋琢磨をしてきたという貴重な体験があります。オムロンもまた、そうした資産と体験を活かして、社会的課題の解決の牽引者となってくれることを期待しています。

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以上を受けて、オムロン(株)から下記のような発言がありました
  • オムロンでは、20年ほど前から「社会の公器としてその責任を果たすことが企業の存在価値である」として、企業活動の根源にCSRを置いています。社会に対して何ができるかと、今後も常に自問しながらやっていきたいと考えています。
  • ソーシャルニーズに応えるべく、幅広い事業展開を進めてきましたが、逆に散漫になってしまうと感じる部分もあります。どういう基準で集約するのがよいのか、今一度「自分たちは何者か」という原点に戻り、明確な基準を打ち出したいと思います。
  • 今までは「規模」と「質」を追いかけてきましたが、今後は企業の「持続性」、ひいては「社会の持続性」への貢献が大事になると思います。企業を評価する尺度もPL(損益計算書)などの収益指標から「いかに社会の持続性につながる投資をしているか」といったものにシフトしてくるでしょう。私たちもそのシフトに対応していく必要があると考えています。
  • 企業の社会的責任として一番大事なのは雇用を創出することだと思います。これについては、是非継続していきたいと考えています。また、世の中には雇用に関する先進的な取り組みが存在します。こうした事例を積極的に学びながら、内部へ展開していきたいと考えています。
  • 私は環境ビジネスに取り組んでいますが、バブルのような一時的な流行とならないよう、慎重に事業を進めることの大切さを痛感しています。その意味で、「等身大に戻る」というお話は、非常に示唆に富んだものでした。
  • 「オムロンの独自性を持ってCSRに臨む」という時、CSRを事業カンパニーのそれぞれがとっている事業戦略、商品戦略、技術戦略の共通している軸に含めて進めることが肝要ではないかと思います。

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