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10年後のCSRの達成イメージ

ソーシャルニーズの創造・顧客課題

10年後の社会像 企業は環境問題だけでなく、少子高齢化、教育、格差・貧困など国際社会が抱えるさまざまな課題を、製品やサービス、技術など本業を通して解決することがあたり前の社会になっている。企業の真価は、その取り組みの度合いと成果ではかられる。国の経済事情にかかわらず、大量消費・大量廃棄のライフスタイルは転換を迫られ、消費者の多くは「環境に配慮している」「不公正な取引に基づいていない」商品やサービスを求めるようになっている。その結果人々のライフスタイルは、「精神的な充足感」や「健康」を意識したものへと変わりつつあるであろう。企業の情報公開と情報通信の発達により、商品やサービスなど企業活動にかかわる消費者の知識や情報収集力は高まり、企業活動を見る目はいっそう厳しくなるため、本気で社会と共生する企業だけが継続して発展する事を認められる時代になる。
10年後の社会における役割認識 私たちは創業以来、「企業は社会の公器である」と考え、「人と社会」、「人と自然」、「人と機械」が最適なバランスを保つ最適化社会を見据えて、製品やサービスを世に先駆けて生み出す「ソーシャルニーズの創造」を、もっとも大切にしている。これはよりよい社会をつくる一助になるために事業を推進することであり、10年後の社会ではさらに強く求められると認識している。全社員はそれに応える責任感と、それを機会と捉えるチャレンジの姿勢を自覚している。
具体的には、個人のお客様向けには健康増進を、企業のお客様向けにはセンシング&コントロール技術による安全や安心をさらに提供するようになっている。加えて、持続可能なライフスタイルや社会の仕組みに関わる事業を生み出し、日本、世界において社会にプラスの影響をもたらすよう、社員一丸となって取り組んでいる。同時に、厳しくなる企業活動への社会の目を意識しながら、メーカーとして公正さ、品質を追求し、環境にも配慮を尽くすなど、一層のこだわりをもって社会にマイナス影響のないよう責任を果たしている。
10年後の達成イメージ 「ソーシャルニーズの創造」を着実に実践するには、研究開発から生産・販売まで、社内外のさまざまなステークホルダーと協業・連携することが有効である。個人や法人のお客さま、仕入・取引先さまや行政、非営利組織などと新しい価値を生み出す「協創」の体制を確立している。さまざまなステークホルダーとの協業から得られる気付きがカタチとなり、社会の役に立つ革新的な商品やサービスが多数実用化している。
「協創」は、世界各地における社会・経済発展にも適用され、とりわけマイノリティと呼ばれる社会的支援・後押しを必要とする方々に対しても、健康や安全・安心面で支援している。これは社会の隠れたニーズに応えることに繋がる。またメーカーとして、製品の品質については引き続き高いプライドを持ってこだわり続け、グローバルでトップレベルの評判を獲得している。

公正な事業活動・組織統治

10年後の社会像 貿易・投資の自由化が進み経済のグローバル化が加速することにより、経済活動に関する国際ルールの確立と各現地のルールとの整合が急務になる。また、企業間や国家間に広がる経済格差などを背景に、途上国が不利益を被る恐れは解消されず、倫理的な行動の徹底を求め企業活動を監視する動きがさらに高まる。このため、事業活動の上流・下流ともに関係者が広がると同時に、行政や非営利組織等との関係も深まってくる。
これらの事から、事業を公正に運営する努力や組織統治の質の向上が、社会からいっそう強く求められる時代になると考えられる。
10年後の社会における役割認識 これまでどおり、倫理的な行動と経済性は両立するとの信念のもと、これを社内に徹底し実践することが、私たちの長期的な信頼性と企業価値を高めていくと認識している。とくに新興経済国での事業展開が活発化するなかで、企業倫理・国際ルールの共有と徹底に責任をもって取り組むべきである。この責任には直接取引のみならず、サプライチェーン全体にフェアな取引・企業活動が浸透するよう、状況を把握し必要な支援をすることも含まれる。
また、多様なステークホルダーからの信頼を獲得できるよう、説明責任・透明性を向上させるべく、誠実な情報開示に努めている。
10年後の達成イメージ グローバルに一貫性のある法令遵守や企業倫理のガイドラインを、徹底して運用する仕組みを確立している。この取り組みはグループ内にとどまらず、日本の企業が国際ルールを共有するのに役立てられ、この分野におけるリーダーシップの一翼を担っている。相互尊重・相互発展の考え方を常に発信し、サプライチェーン上においてもフェアな取引が浸透している。中でもサプライヤーに対しては、法令遵守・倫理的行動を推進する仕組みを構築している。
また、社会環境の変化に敏感に対応するために、ステークホルダーと積極的に双方向コミュニケーションを行う体制を整えている。その結果を受けて、オムロングループとして課題解決に取り組むだけでなく、必要に応じて国際社会で共有できる価値観・ルールづくりに貢献している。

人権

10年後の社会像 グローバル競争や国際的な人材流動化がさらに進展することの負の側面として、労働力の不当な取り扱いが懸念されている。また、地球環境の破壊や紛争・政治不安、感染症の蔓延に起因する人権問題に加えて、医療・健康やセキュリティ等の事業・サービスが高度化し個人情報の蓄積が進むことなども、新たな人権侵害要因を生み出しかねない。このようなグローバル化や人権侵害要因の多様化等が進むにつれて、組織として取り組むべき課題はますます拡大・複雑化していくと考えられる。
10年後の社会における役割認識 企業活動も従業員もグローバル化・多様化が進むため、世界各拠点の組織および従業員個人の価値観に人権尊重の精神を備えることが、極めて重要になる。事業側面においては、人々の健康に関連する事業、社会インフラに関連する事業を中心に、不適切な技術活用が人権侵害につながる可能性を認識し、適切な活用を促す行動を起こすことが私たちの責務と考える。一方、社会課題の側面では、人権侵害の温床にもなっている貧困問題の解決への貢献も視野に入れて、創業以来取り組んできた障がい者の社会参加支援を拡充すべきと考える。
10年後の達成イメージ 雇用にあたっての差別をなくし、すべての従業員に教育や昇進の機会を平等に提供している。加えて、グローバル基準での人権教育を徹底し、人権尊重の精神をもった人材の育成と、多様な能力が豊かに発揮できる力強い組織を実現している。事業においては、ステークホルダーとともに技術使用に関するガイドラインづくりに取り組んでいる。このガイドラインはオムロングループが取り扱う分野が中心となるが、さらに拡張して、広く「人権擁護と科学技術活用の両立」に関する活動にリーダーシップを発揮している。
また、人権侵害の起きている地域に対しては、政府や非営利組織等に協力し、その解消に貢献している。なかでも障がい者が抱える課題に関し、社会貢献活動や製品・サービスの提供等に積極的に取り組んでいる。これらの活動を通じて課題の存在を社会に広く認知してもらい、関心を高める役割を果たしている。

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労働慣行

10年後の社会像 日本では「兼業社会」「フリーエージェント社会」と呼ばれる時代に突入し、「雇われない働き方」が大幅に増加すると想定される。また、ワークライフバランスの浸透やグローバルベースでの人材流動化により、働くことに対する価値観の多様化も進むと考えられる。
このような背景の下、企業では個々の従業員がさまざまな価値観に応じた最適な働き方と職場環境を選択できるように、仕組みとサポートのあり方を探る葛藤が続く。管理職には経営資源を最適化するコーディネーターとしての役割が一層期待され、管理職のプロ化が図られる。組織内には人材育成のプロが要所に配置され、独自の育成プログラムが展開される。採用活動においては、多様な才能を伸ばす人材育成への取り組みが、各社の差別化要因となる。
オムロンの社会における役割認識 私たちは、自らの意思で、自ら考え、自ら行動する「自律型社員」こそが企業の創造力の源泉であると考えている。この延長に、自らの知恵やスキルを武器に、その都度適切な形態を選んで仕事をする「フリーエージェント」が位置づけられる。自律型社員と外部のフリーエージェントの最適な組み合わせにより、組織と個人の双方が満足し、成長する企業へと進化していきたいと考えている。
この進化の過程を通じて、個の違いを認識し尊重できる価値観と行動力を身につけた、好奇心豊かな人材を豊富に有する企業となることを目指している。また、ワークライフバランスと多様性尊重が浸透し、構成員の高い満足度を得るとともに、多くの求職者から選ばれる企業になっている。
10年後の達成イメージ 従業員が個性を発揮できる職場づくりのため、特に管理職のマネジメント能力、人材育成力の向上に継続して取り組んでいる。人材の多様化、国際化に対応し、人材の育成・評価・活用のための仕組みをグローバル基準で設計・導入し、運用は現地で柔軟に対応できるよう本社がサポートを行っている。現地人材の活用を優先しつつも、グローバル企業として優秀な人材を必要な部門や国に柔軟に配置する適材適所を推進している。その一方、即戦力の外部「フリーエージェント」を最大限活用できるよう、制度や仕組みを整備するとともに最適な人材構成を模索し、有能な人材が有機的に協業するネットワーク型の組織を実現している。性別や障がいの有無などに関わらず、多様な人材が活躍できる職場風土をつくりあげるとともに、様々な支援の仕組みを整備している。

環境

10年後の社会像 ポスト京都議定書の目標達成期限(2020年)を前に、世界の温暖化対策の限界を各国が認識している。国レベルでは、数値目標に依然反対する大国、先進国はもとより、途上国での温暖化ガス排出量の削減にも目処が立たず、EU、日本も未達成が続いている。炭素税・環境税も議論段階で導入に踏み切る国は少なく、ジレンマが続いている。こうした動きをよそに、複数の小島が消滅し、森林火災などの気候変動による災害が増加している。淡水資源も減り続け、安全な飲料水の不足が明らかとなり「水資源の争奪戦」が勃発する。さらに、石油エネルギー不足や地球温暖化問題からバイオエタノールへのシフトが加速する中、食料か燃料か、の議論が再燃し、改善の兆しが見えない。
企業においては、環境技術自体の進展と並行して、途上国への技術移転が進んでいく。
10年後の社会における役割認識 キャパシタやバックライトなどの環境負荷低減型製品や、環境破壊に起因する健康不安に応えるヘルスケア製品の需要が途上国を中心に拡大するなか、技術移転や国際貢献などの形で途上国の環境保全に貢献することが重要になると考えられる。同様に、新興経済国での企業活動が活発化するなかで、自社の事業活動による環境負荷を削減するにとどまらず、その地域・国の環境課題解決を支援する必要性を感じている。
このような認識にもとづき、世界的な地球温暖化問題、エネルギー不足に対して、グローバルレベルで効果が高い取り組みや対象地域を検討し、資源を集中して解決に貢献している。
10年後の達成イメージ 環境関連技術の移転など、民間企業として事業を通じて貢献できる領域でリーダーシップを取っている。温暖化問題に関しては、CDM(クリーン開発メカニズム)等の枠組みを有効に活用して、途上国の排出削減に目に見える形で貢献している。またセンシング&コントロール技術を活用して、環境問題を「見える化」するなど、コア技術の社会貢献活用の方向性も積極的に模索するほか、環境課題解決に向けた国際的な議論を先導する役割を担っている。

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コミュニティの社会的及び経済的発展

10年後の社会像

人口増加、環境負荷増加が続き、今以上に企業と社会との共生が重要になってくる。新興経済国の経済発展の陰で地域格差・貧富の差の拡大、食糧・水問題の悪化などが懸念され、社会開発※1の第一の責任は政府にあるものの、さまざまな組織も相応の責任を果たすよう求められるようになる。責任の領域は、貧困及び飢えの軽減はもとより、教育訓練の提供、公衆衛生および生活環境の向上、文化遺産の保存にまで及び、とくに日本においては少子高齢化によって引き起こされる問題への対処も責務として期待される。
このような社会的問題を解決するには、経済的発展と同時に、コミュニティ参画※2がより重要となる。自らの与える影響を理解し、自己と社会にとって最大の利益となるように活動を適応させることが望まれている。

※1 社会開発:
コミュニティの社会的・経済的発展を促す取り組み
※2 コミュニティ参画:
コミュニティのよき一員としての行動・積極的な援助
10年後の社会における役割認識 企業が対処すべき課題はより広範で複雑になるため、まず自社の影響の及ぶ範囲と実態を把握することが必要になる。コミュニティ参画を促し社会開発に積極的に関与して、社会の状況や期待の変化を的確に把握することが、企業の責務であると同時に、「ソーシャルニーズの創造」を掲げる私たちにとっての財産にもなると考える。その上で、事業の特性やさまざまなノウハウを活かし、場合によっては他企業・他分野の組織とも連携した社会投資をリーダーシップを持って行っていくことが、私たちらしい社会開発のあり方である。
また、世界で起きている問題について日本社会にフィードバックし、関心を高めたり解決のための行動を促したりする事も、日本発のグローバル企業として果たすべき役割と認識している。
10年後の達成イメージ 私たちの考える持続可能な社会の姿を発信し、社会開発における国際的なリーダーシップの一翼を担っている。貧困地域においては、健康衛生・社会インフラ整備・雇用を中心に取り組んでいる。一方、より高齢化の進んだ先進国においては、心身両面の健康・安心・安全面でのリーダーとして取り組んでいる。
これらの取り組みは、「ソーシャルニーズの創造」プロセスの一環として行われ、オムロングループならではの事業を通じた社会開発のあり方(=行政や非営利組織等との協業による社会と一体となった企業の発展モデル)を国際社会に提示している。また、「制約ある人々のQOL向上」を基本方針としながら、各コミュニティのニーズに合った様々な社会貢献活動を行っている。社員個々のコミュニティ参画が促進され、事業における社会開発と個人のコミュニティ参画との相乗効果が表れている。

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