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人工知能(AI)が「デジタルいわし」に命を吹き込む~自然界から学び、地球社会に還元する~

「デジタルいわし」のデモンストレーション

大海原を悠々と泳ぐ1万5000匹ものいわしの大群。
1匹1匹の動きが相互に協調し合い、右へ左へと、ぶつかることなく群れが調和しながらカタチを変える。
誰しもその動きの美しさに目を奪われる。

一瞬本物のいわしの大群かと見まがうこの映像、近づいてよく見ると、本物のいわしを撮影した映像ではないことが分かる。

デジタル技術が進歩し、何でもCGで簡単に動かせると思われがちだが、1万5000匹もの個体を、自然界と同じように調和させて動かすことは並大抵のことではない。

美しい世界の裏では、緻密に計算されたAI技術が埋め込まれた1匹1匹のデジタルCGいわしが協調して動けるよう、膨大なデータ処理を、最新のGPUが搭載されたコンピュータがフルスペックで動いている。

この世界を支えているのは、オムロンが社会インフラシステムや製造現場のオートメーションで培ってきた、沢山のデータからルールや判断基準を抽出し、識別させて、予測するという、人間が自然に行っている学習能力と同様の機能をコンピュータで実現しようとする機械学習技術。そして、3次元計測を始めとする画像センシング技術。
この技術があって、初めてこの群れの動きが生まれる。

この技術を世界で初めて披露したのは2013年の中国。
初めて目にする、本物のように動くいわしの群れに人々は驚いた。

「デジタルいわし」の開発チーム

この技術開発を手掛けたのは、小竹を始めとする5名のチーム。
脳科学/システム神経科学という専門分野をバックグラウンドに持ち、画像処理・生体信号処理を手掛けながら、人と機械の協調の新しいソリューションを開発している小竹を筆頭に、文字認識から人の状態検出・認識技術の画像センシング技術を幅広く手掛ける日向、 3次元計測法を用いた人の行動認識・インタラクションを得意とする林、光計測技術とコンピュータ・グラフィックス両技術から、デジタル光線空間を自在に操る庄が集められた。

そして、個性豊かなメンバを束ねるのは、常に視点を未来と世界に目を向け、技術開発を推進する川出。

それぞれのメンバが強みに持つ技術が応用されている。

なぜオムロンが「デジタルいわし」を?そう思う人も多いはず。

オムロンは、社会環境の変化に合わせて最適に調和された社会ソリューションを提供するために、個の自律、相互の協調、全体の調和の技術課題に取り組んできている。
目指すのは、自らの目標や価値観を持つ個が、意志を相互に読み取りながら問題解決する視点を持ち、目的や意図する価値観に基づき、大規模システムでも最も調和した社会。

外敵から身を守りながら、互いに暗黙のルールで集団生活を送るいわしの魚群を目にした時、オムロンが目指している技術は、自然界で脈々と受け継がれている法則と同じことに気付かされた。

小竹ら開発チームは、徹底的にいわしについて研究をした。

生きる目的が全体調和を創り出す


いわしが群れとなって泳ぐ"サーディンラン"


ときに5万匹以上にもなる、大海原を泳ぐいわしの群れ。
大きな群れをつくり、奇抜な動きでその形を自由自在に変えて、外敵を追い払おうとする。
なぜなら、いわしは外敵が多い魚。
集団生活が必須な種であり、小さな群れや、群れからはぐれると、すぐに餌食になる。
本能的に、高い密度で大きな群れをつくろうとする習性が強い。

いわしはただ群れから逃げるためだけに群れているのではない。
いわしは嗅覚も優れていて、一匹二匹が気づくと連鎖して大群でエサに向かう。
外敵やエサに気づいたいわしが、お互いに知らせ合って、集団生活をしている。

当初小竹たちは、CGのいわしに「周囲(仲間・エサ・外敵)との距離」「泳ぐ速度」「泳ぐ方向」といったパラメータを持たせて、同時にぶつからないように動かすことでいわしの群れをCGで再現できると考えた。
しかし、思ったようには動かない。
まるで意志のない浮遊物のように、一匹一匹がバラバラに動いてしまった。

生き残るために集団生活をするという目的を、一匹一匹に持たせられていないのではないか?
考え直すことになった。

集団生活をするいわしには、次の3つの行動パターンがあるという。

①外敵が近づいたら逃げる     ②一つの個体になるように動く     ③エサにありつく

刻一刻と変わる海の中の状況をいわしが自分で見極め、この3つのルールの優先順位の重みづけを変えながら動く、AIアルゴリズムを構築することが必要だった。
動きを制御するパラメータが多過ぎると動けなくなる、個性が強すぎては暴走して全体最適が保たれない。アルゴリズムを改良しては、いわしを動かす。
しかも見る人がCGではなく実物だと見間違えるくらい忠実に動かすため、何度も実際のいわしの泳ぎと見比べ、改良を重ねた。

そして、いわし一匹一匹が自分で考え、個性をもちながらも同じ目的の下で調和のとれる「デジタルいわし」魚群が誕生した。

「私は、画像処理で、人の流れを検出する技術や、工場の生産ラインを流れる製品の特徴を検出する技術も開発してきました。

機械が人や他の機械の動きを理解できるようにするには、機械が自分で考えて最適なパラメータを見つけて行動する必要があります。

一匹一匹のいわしが自分で膨大な数のパラメータを高速に変動させて、全体にとって最適な答えを導くことは、画像処理と共通しています。」と小竹は説明する。

いわしの先に見据える人間の暮らし




「全体にとって最適な答えを導くというのは、一台一台のクルマが周囲の交通状況を見極め、渋滞を避けるためにクルマが自分でルートを考えナビゲーションし、渋滞が起こらないようにする技術にも共通しています。
それだけではありません。
交差点での交通事故を無くすため、人/自転車/クルマがお互いの位置を知らせ合い、事故を予防する。
街の各家庭の電力使用量をモニタリングし、街の中のソーラーパネルで創られた電力や蓄えていた電力を、必要なときに必要な家庭で使えるようにするスマートグリッドに貢献する。
オムロンが開発を進めている、全体最適を導くための技術は、生活を安心で便利なものにできます。

機械が人を理解する技術、機械同士が理解し合う技術をこれからも開発し、社会に役立てていきたいと思っています。」と、小竹は締めくくった。

集団生活を営む、いわし一匹一匹は、人間一人ひとり。
自然界から学び、地球社会に技術で還元する。
オムロンはこれからも、人と機械と地球が全体最適して調和する未来社会を、技術で創っていきます。

交差点で人/自転車/クルマがお互いの位置を知らせ合っている未来イメージ



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